エリオット波動を詳しく解説

テクニカル分析

トレーダーに人気があるテクニカル分析の1つにエリオット波動があります。
エリオット波動を主軸にトレードスタイルを構築している方もいれば、エリオット波動に否定的なトレーダーがいるのも事実です。個人的にはエリオット波動を主軸にトレードすることはありませんが、エリオット波動理論は基礎レベルの知識として学習しておいて損はないと思います。肯定派もいて否定派もいるのが相場ですから、一部のトレーダーの手の内を知るという意味でも勉強になります。

エリオット波動理論は、アメリカのラルフ・ネルソン・エリオットが株価変動の原理として発表したもので、アメリカの3大理論の中の1つ。現在は、株式市場だけでなく、FXや先物市場でも広く用いられている理論です。1946年にNatures Law(自然の法則)で、エリオット波動の基本はフィボナッチ数列だと書いています。

  1. エリオット波動の基本 推進波は5波構成、修正波は3波構成
  2. 推進波 アクション波とリアクション波のパターン
  3. エリオット波動とフィボナッチ
  4. エリオット波動理論について
  5. エリオット波動メモ
    1. フラット(Flat)の基本構造
    2. A波、B波、C波の内部構造に3-3-5が適用されるケース
    3. フラットの種類に応じた3-3-5の形成可能性
    4. ポイント
  6. エリオット波動理論における各波動の出現パターンと内部構造
  7. エリオット波動の1波
    1. 出現パターン
    2. 内部構造
  8. エリオット波動の2波
    1. 出現パターン
    2. 内部構造
  9. エリオット波動の3波
    1. 出現パターン
    2. 内部構造
  10. エリオット波動の4波
    1. 出現パターン
    2. 内部構造
  11. エリオット波動の5波
    1. 出現パターン
    2. 内部構造
  12. エリオット波動のA波
    1. 出現パターン
    2. 内部構造
  13. エリオット波動のB波
    1. 出現パターン
    2. 内部構造
  14. エリオット波動のC波
    1. 出現パターン
    2. 内部構造
  15. まとめ表
  16. エリオット波動のターゲット
    1. 1. 第5波のターゲットの基本的な考え方
    2. 2. フィボナッチ比を使用する方法
      1. (1) 第1波の長さを基準にする
      2. (2) 第3波の長さとの比率を使用する
      3. (3) エクステンションの場合
    3. 3. チャネル分析を使用する方法
    4. 4. 実践例
      1. 計算例:
    5. 5. 注意点
  17. B波のターゲットを設定する方法
    1. 1. A波のフィボナッチリトレースメントを使用
    2. 2. ジグザグ型の修正の場合
    3. 3. フラット型の修正の場合
    4. 4. ランニングフラットや拡大フラットの場合
    5. 5. チャネル分析を活用
  18. 実践例
      1. 計算結果:
    1. 注意点
  19. 1. 出現場所
  20. 2. パターンの種類
    1. (1) ジグザグ + フラット
      1. 例: ジグザグ + フラット
    2. (2) フラット + トライアングル
      1. 例: フラット + トライアングル
    3. (3) トライアングル + ジグザグ
      1. 例: トライアングル + ジグザグ
    4. (4) トリプルコンボ
  21. 3. カウント方法
  22. 4. カウントのコツ
  23. 5. まとめ
    1. 1波(Impulse Wave 1)
    2. 2波(Corrective Wave 2)
    3. 3波(Impulse Wave 3)
    4. 4波(Corrective Wave 4)
    5. 5波(Impulse Wave 5)
  24. 修正波(ABC波)を見極める方法
    1. A波(Corrective Wave A)
    2. B波(Corrective Wave B)
    3. C波(Corrective Wave C)
  25. 見分けるためのツールと補助指標
  26. 第3波が延長する際の特徴と見極め方
  27. ★第3波が延長した場合の第5波の特徴

エリオット波動の基本 推進波は5波構成、修正波は3波構成

エリオット波動理論の基本として、5波の推進波と3波の修正波(合計8つの波動)を1つのサイクルと考えます。
これはダウ理論の「主要トレンドは3段階から成り立つ」という考えからきており、ビジネスで使われるPLC(プロダクトライフサイクル)、導入期→成長期→成熟期→衰退期の考えにも似ています。

メジャートレンド方向の波がアクション波(Actionary Waves)で、メジャートレンド方向とは逆の波がリアクション波(Reactionary Waves)になります。エリオット波動を詳しく解説した本「Elliott Wave Principle: Key to Market Behavior」によると、推進波や修正波の中の波形でトレンド方向へ機能した波をアクション波と考え、トレンド方向を否定(逆に機能)した波をリアクション波と考えるようです。

上図の上昇5波(推進波)、下降3波(修正波)の中で、
アクション波は1波・3波・5波・A波・C波。
リアクション波は2波・4波・B波。

 
鈴木

エリオット波動は、ダウ理論やフィボナッチと深く関係しています。
より深くエリオット波動理論を理解するのであれば、ダウ理論やフィボナッチの学習が必要になります。

エリオット波動はフラクタル構造になっています。

フラクタル構造とは、幾何学の概念で全体の作りと部分的な作りが相似していることを意味します。エリオット波動のフラクタル構造とは、例えば日足ベースで5波の推進波と3波の修正波(合計8つの波動)を形成していく中で、下位足となる4時間足や1時間足でも5波の推進波と3波の修正波を形成していくという考えが基本にあります。

エリオット波動基本原則
エリオット波動の3原則
①2波のリアクション波が1波のアクション波のスタート地点を割り込まない。
②アクション波(1波・3波・5波)の中で3波が一番短くなることはない。
③4波のリアクション波が1波のアクション波の高値を割り込むことはない。
 
実践の相場でエリオット波動をカウントしていると、原則に一致せず3波が一番小さかったり、4波が1波の高値を割り込むケースが見られます。本家では波のサイズは値幅でなく変化率で確認していく必要があり、原則に一致しないケースではカウント方法が間違っていることも考えられます。波サイズのカウントに関しては、分析する人によって変わってくるので肯定派と否定派で意見が大きく分かれそうです。

推進波 アクション波とリアクション波のパターン

推進波のアクション波は1波と3波と5波。リアクション波は2波と4波です。
フラクタル構造で解説しましたが、例として上位足(日足)で1波を形成する際に、下位足(4時間足や1時間足)でも似た動きとなり、推進5波を形成すると基本は考えます。ここでは下位足となる波形パターンについて解説していきます。

アクション波 1波、3波、5波(推進波)

推進波の中のアクション波である1波、3波、5波を形成する際に下位足でよくみられるパターンは2つあります。

1つめは、インパルス。(上図左)
2つめは、ダイアゴナル。(上図右)

インパルスはエリオット波動の3原則通りのパターンで、ダイアゴナルは4波が1波の高値を割り込むという特徴があります。3原則だけを把握していた場合には、ダイアゴナルの型になるとカウントが難しくなってしまいます。

リアクション波 2波、4波(推進波)

推進波の中のリアクション波である2波、4波を形成する際に下位足でよくみられるパターン。

エリオット波動のパターン

エリオット波動とフィボナッチ

エリオット波動はフィボナッチと深い関係性があります。
ここでは推進波のフィボナッチを使った押し目目安とターゲット目安を紹介していきます。

推進波の中のリアクション波である2波と4波のフィボナッチリトレースメントの目安は、38.2%~61.8%が基本となります。簡単に言えば、上昇トレンドの押し目になる目安ですね。

次に推進波の中のアクション波である1波のターゲット目安は、フィボナッチ・エクステンションの161.8%、261.8%、423.6%が基本となります。

最後に5波のターゲット目安は、1波のサイズの61.8%、100%、161.8%が基本です。

エリオット波動理論について

このページで紹介したエリオット波動理論は、基本的なポイントを簡単にまとめているだけで応用など含めると軽く数十ページを超えるボリュームとなります。本気でエリオット波動を学習したい方は、専門書が数種類販売されていますのでそちらで深く学ぶことでトレーダーとしての視野は広がります。

エリオット波動をカウントする便利なツール(MT4インジケーター)もネット検索すると無料配布されてはいますが、カウント精度はいまいちのようです。下記で簡単に紹介しておきます。

エリオット波動メモ

フラット(Flat)の基本構造

  • フラットは、調整波の一種であり、通常、A波B波C波の3つの波から構成されます。
  • 内部構造は通常、以下のようになります:
    • A波:3波構造(ジグザグまたはフラット)
    • B波:3波構造(ジグザグまたはフラット)
    • C波:5波構造(インパルスまたはダイアゴナル)

A波、B波、C波の内部構造に3-3-5が適用されるケース

  1. A波の内部構造が3-3-5になる場合

    • A波自体がフラットで形成される場合、内部構造は 3-3-5 になります。
    • 例:フラット型の調整が始まり、A波の内部がさらに細かいフラットとして分解されるケース。
  2. B波の内部構造が3-3-5になる場合

    • B波は一般的に3波構造ですが、この中でもB波がフラットとして形成される場合、内部構造は 3-3-5 になります。
    • フラット型B波は通常、A波の起点を超える(拡大型フラットの場合)か、近辺で反転する特徴があります。
  3. C波の内部構造が3-3-5になる場合

    • C波は通常、5波構造(インパルスまたはダイアゴナル)で形成されますが、全体的なフラットがさらにフラット内部構造(複雑な調整波)を持つケースでは、C波のサブ波も 3-3-5 になる可能性があります。
    • ただし、このケースはやや特殊で、明確に区別されることが重要です。

フラットの種類に応じた3-3-5の形成可能性

  1. レギュラーフラット(Regular Flat)
    • A波:3波構造
    • B波:A波の範囲内で3波構造
    • C波:A波とほぼ同じ長さの5波構造(インパルスまたはダイアゴナル)
    → この場合、3-3-5の構造が典型的です。
  2. エクスパンデッドフラット(拡大型フラット)
    • A波:3波構造
    • B波:A波の始点を超える(3波構造)
    • C波:B波を大きく下回る(5波構造)
    → B波が強調されることがありますが、基本的な内部構造は3-3-5です。
  3. ランニングフラット(Running Flat)
    • A波:3波構造
    • B波:A波の始点を超える(3波構造)
    • C波:A波の終点に届かない(5波構造)
    → この場合も3-3-5が適用されますが、C波が短縮される特徴があります。

ポイント

  • フラットのすべての波(A、B、C)が3-3-5の内部構造を持つ可能性は、複雑な調整波(ダブルフラットやトリプルフラットなど)において特に高まります。
  • しかし、単一のフラット(レギュラー、エクスパンデッド、ランニング)では、通常、A波とB波が3波構造であり、C波が5波構造で形成されます。

エリオット波動理論における各波動の出現パターンと内部構造

エリオット波動の1波

出現パターン

1波はトレンドの初動であり、しばしばボリュームが低く、投資家がまだ新しいトレンドに確信を持っていない状態です。

内部構造

  • 基本構造:インパルス(5-3-5-3-5)
    • トレンドに従った5波構造を持つ。
  • 代替構造:リーディングダイアゴナル
    • 内部構造が 5-3-5-3-5 または 3-3-3-3-3 になる。

エリオット波動の2波

出現パターン

2波は1波の利益確定売りによる調整であり、トレンドに逆行する動きをします。

内部構造

  • 基本構造:ジグザグ(5-3-5)
    • 深い調整が特徴で、1波の50%~61.8%程度の戻りが一般的。
  • 代替構造:
    • フラット(3-3-5)
    • トライアングル(通常は稀)

エリオット波動の3波

出現パターン

3波は最も強いトレンドの動きで、大量の資金が市場に流入します。通常、他の波よりも長くなることが多いです。

内部構造

  • 基本構造:インパルス(5-3-5-3-5)
    • トレンドの方向に進む明確な5波構造を形成。
  • ルール:
    • 3波は1波の1.618倍以上になることが多い。
    • 3波は決して最短にならない。

エリオット波動の4波

出現パターン

4波は3波の利益確定による調整で、トレンドに逆行しますが浅い調整で終わることが多いです。

内部構造

  • 基本構造:フラット(3-3-5)
    • 他の調整波と比較して横ばいになる傾向が強い。
  • 代替構造:
    • ジグザグ(5-3-5)
    • トライアングル(A-B-C-D-Eの5波構造)

エリオット波動の5波

出現パターン

5波はトレンドの終盤を示し、3波ほど強くはないが、トレンドの方向に進む。

内部構造

  • 基本構造:インパルス(5-3-5-3-5)
    • 明確な5波構造でトレンドの最後を形成。
  • 代替構造:エンディングダイアゴナル
    • 内部構造が 3-3-3-3-3

エリオット波動のA波

出現パターン

A波はトレンドの転換を示唆する初動であり、逆トレンドの動きとなります。

内部構造

  • 基本構造:インパルス(5-3-5-3-5)
    • 下落のA波では明確な下降トレンドを形成。
  • 代替構造:リーディングダイアゴナル
    • 内部構造が 5-3-5-3-5 または 3-3-3-3-3

エリオット波動のB波

出現パターン

B波はA波に対する反発で、トレンド方向に進むものの、全体のトレンドの転換は未だ不明瞭。

内部構造

  • 基本構造:ジグザグ(5-3-5) または フラット(3-3-5)
    • A波の反動として現れるが、A波の起点を超える場合もある(拡大型フラット)。
  • 代替構造:
    • トライアングル(A-B-C-D-Eの5波構造)

エリオット波動のC波

出現パターン

C波は調整波の終わりを形成し、しばしばA波よりも大きな動きを見せます。

内部構造

  • 基本構造:インパルス(5-3-5-3-5)
    • 明確なトレンドを示し、しばしば3波と同じように長い波になります。
  • 代替構造:エンディングダイアゴナル
    • 内部構造が 3-3-3-3-3

まとめ表

波動出現パターン内部構造
1波トレンドの初動インパルス / リーディングダイアゴナル
2波調整(深い戻り)ジグザグ / フラット
3波最も強いトレンドインパルス
4波調整(浅い戻り)フラット / トライアングル
5波トレンドの終盤インパルス / エンディングダイアゴナル
A波トレンドの逆転の初動インパルス / リーディングダイアゴナル
B波反発(逆方向)ジグザグ / フラット / トライアングル
C波調整波の終了インパルス / エンディングダイアゴナル

エリオット波動のターゲット

ターゲット計算 フィボナッチ参考値 補足
第1波 通常は未定義。トレンドを開始する波で、構造に基づいて予測。 N/A トレンドを設定する波。単独では予測されないことが多い。
第2波 第1波の50%-61.8%をリトレース。 50%-61.8% 修正波のリトレースメント。次の動きのサポートを構築。
第3波 第1波の長さの1.618-2.618倍、またはフィボナッチに基づく延長。 1.618-2.618 最も強い推進波。通常、最大の価格変動を伴う。
第4波 第3波の38.2%-50%をリトレース。 38.2%-50% 修正のリトレースメント。最終推進波への準備を整える。
第5波 第1波と同等、または0.618-1.618倍。トレンドが強い場合はさらに延長。 0.618-1.618 最終の推進波。第1波の長さと一致、または延長することが多い。
A波 最初の修正波。市場環境に応じて異なる。 N/A 全体の構造に依存。ジグザグやフラットパターンで異なる。
B波 A波の38.2%-61.8%をリトレース(フラット型では100%-123.6%に延長することも)。 38.2%-123.6% フラット型では深いリトレースメント、ジグザグでは浅いことが多い。
C波 A波と同等、または1.618倍の延長となることが多い。 1.0-1.618 修正を完了する波。A波との対称性に基づいて目標を設定。

エリオット波動の理論に基づいて第5波のターゲットを設定する方法は、以下のようなステップを使用して行います。ターゲットを設定する際には、第1波、第3波の長さや全体のフィボナッチリトレースメントを活用することが一般的です。


1. 第5波のターゲットの基本的な考え方

第5波は、通常、トレンド全体の最後の推進波であり、エリオット波動の理論において第1波または第3波の長さと関連づけられることが多いです。ターゲットを出すための一般的な方法は以下の通りです。


2. フィボナッチ比を使用する方法

(1) 第1波の長さを基準にする

  • 第5波はしばしば第1波と同じ長さになることが多いです。
    • 第5波のターゲット = 第4波の終点 + 第1波の長さ

(2) 第3波の長さとの比率を使用する

  • 第5波は、第3波のフィボナッチ比率 (0.618倍や1倍) に基づく場合があります。
    • 第5波のターゲット = 第4波の終点 + 第3波の長さ × 0.618
    • または
    • 第5波のターゲット = 第4波の終点 + 第3波の長さ × 1

(3) エクステンションの場合

  • トレンドが強い場合、第5波は第1波または第3波の1.618倍や2.618倍に達することがあります。

3. チャネル分析を使用する方法

エリオット波動では、チャネル分析を使用して価格の動きの目標値を確認することもできます。

  • トレンドチャネルを引く方法:
    1. 第1波の始点と第3波の終点を結ぶ線を引く。
    2. 第2波と第4波の谷を結ぶ線を平行に引く。
    3. 第5波のターゲットは、このチャネルの上限に到達する場所と考えられます。

4. 実践例

例えば、以下のような場合を考えてみます:

  • 第1波: 100〜150 (50単位の上昇)
  • 第2波: 150〜130
  • 第3波: 130〜200 (70単位の上昇)
  • 第4波: 200〜180

計算例:

  1. 第1波基準:
    第5波ターゲット = 第4波の終点 (180) + 第1波の長さ (50) = 230
  2. 第3波基準 (0.618倍):
    第5波ターゲット = 第4波の終点 (180) + 第3波の長さ (70) × 0.618 = 223.26
  3. チャネル分析:
    チャネル上限に到達する位置を視覚的に確認。

5. 注意点

  • エリオット波動は相場の心理に基づいた理論のため、厳密な数学的計算よりも柔軟に考えることが重要です。
  • フィボナッチ比率やチャートの形状が異なる市場状況に影響されることがあるため、複数の方法を組み合わせて検討すると良いでしょう。

B波のターゲットを設定する方法

1. A波のフィボナッチリトレースメントを使用

B波は、A波の価格変動に対してリトレースメントを行う波です。フィボナッチ比率を使用して、ターゲットを次のように予測します。

  • 一般的なB波のターゲット範囲:
    • 38.2% リトレースメント (弱い反発の場合)
    • 50.0% リトレースメント (標準的な反発)
    • 61.8% リトレースメント (強い反発)
    計算式:
    • B波のターゲット = A波の始点 + (A波の価格幅 × フィボナッチ比率)

2. ジグザグ型の修正の場合

ジグザグ型(A-B-C)の修正波では、B波は通常 A波の38.2%〜61.8% をリトレースします。

  • 例:
    A波が100〜80(20単位の下落)の場合、
    • 弱いB波: 80 + 20 × 0.382 = 87.64
    • 標準的なB波: 80 + 20 × 0.500 = 90.00
    • 強いB波: 80 + 20 × 0.618 = 92.36

3. フラット型の修正の場合

フラット型(横ばいの修正波)では、B波がA波をほぼ完全にリトレースすることがあります。

  • 一般的に、B波は A波の78.6%〜100% のリトレースメントとなります。

4. ランニングフラットや拡大フラットの場合

特定の修正波パターンでは、B波が A波を超えて進む(オーバーシュート) こともあります。

  • ターゲット範囲:
    • 100%〜123.6%(A波の価格幅の延長)
    例:
    A波が100〜80(20単位の下落)の場合、B波がオーバーシュートする場合のターゲット:
    • 80 + 20 × 1.00 = 100(完全リトレース)
    • 80 + 20 × 1.236 = 104.72

5. チャネル分析を活用

B波は通常、チャネルの中間ラインや上限に向かって進む傾向があります。A波の起点と終点、B波のターゲット候補をもとにトレンドチャネルを引き、視覚的に確認します。


実践例

A波が以下の場合を考えます:

  • 始点: 100
  • 終点: 80
  • 幅: 20

計算結果:

  1. フィボナッチ38.2%:
    B波ターゲット = 80 + (20 × 0.382) = 87.64
  2. フィボナッチ50.0%:
    B波ターゲット = 80 + (20 × 0.500) = 90.00
  3. フィボナッチ61.8%:
    B波ターゲット = 80 + (20 × 0.618) = 92.36
  4. オーバーシュートの例(123.6%):
    B波ターゲット = 80 + (20 × 1.236) = 104.72

注意点

  1. B波のターゲットは、市場のボラティリティやパターンに依存:
    • トレンドが強い場合、B波がA波を完全にリトレースし、オーバーシュートする可能性があります。
    • ボラティリティが低い場合、B波は38.2%付近で反発を止めることが多いです。
  2. パターンの確認:
    B波の性質は修正波のタイプによって異なるため、ジグザグやフラット、トライアングルのどのパターンに該当するかを確認することが重要です。

エリオット波動の**複合型修正波(complex corrective wave)**は、相場の調整局面で現れる複雑な修正波パターンを指します。通常の単純な修正波(ジグザグやフラットなど)と異なり、複合型修正波は複数の修正パターンが組み合わさった形状になります。


1. 出現場所

複合型修正波は、主に以下の場面で出現します:

  • 第4波: 強いトレンドが一時的に調整される場面。
  • B波: A-B-Cパターンの中間波で複雑になることがあります。
  • 横ばいの調整相場: トレンドのエネルギーが弱く、相場がはっきりとした方向感を持たない時。

2. パターンの種類

複合型修正波は、主に以下のパターンの組み合わせで形成されます:

(1) ジグザグ + フラット

  • ジグザグ(Zigzag): A-B-Cの3波構造で、A波とC波が推進波(インパルス)またはダイアゴナルになる。
  • フラット(Flat): 横ばいの修正波で、A-B-C構造。B波がA波の始点付近までリトレースする。

例: ジグザグ + フラット

  • W(ジグザグ) – X(リンク波) – Y(フラット)

(2) フラット + トライアングル

  • フラット(Flat): 横ばいの修正。
  • トライアングル(Triangle): 収束する5波構造(A-B-C-D-E)。

例: フラット + トライアングル

  • W(フラット) – X(リンク波) – Y(トライアングル)

(3) トライアングル + ジグザグ

  • トライアングル(Triangle): 調整局面のエネルギーの収束。
  • ジグザグ(Zigzag): 強いトレンド方向への調整。

例: トライアングル + ジグザグ

  • W(トライアングル) – X(リンク波) – Y(ジグザグ)

(4) トリプルコンボ

  • 3つの修正波が組み合わさる形。
  • パターン例: ジグザグ – フラット – トライアングル

3. カウント方法

複合型修正波のカウントには、以下のポイントに注意します:

  1. 全体のW-X-Y構造を把握する
    • W: 最初の修正波(ジグザグやフラット)。
    • X: リンク波(通常は短い調整波)。
    • Y: 2番目の修正波(フラット、トライアングルなど)。
    • 場合によってはZ波: トリプルコンボの場合に現れる。
  2. 波の性質を理解
    • 修正波の中でジグザグやフラット、トライアングルの特徴を確認。
  3. リンク波(X波)を見逃さない
    • X波は、短く鋭い逆方向の動きになることが多い。

4. カウントのコツ

  • 明確なトレンドを探す: 修正波の特徴として、トレンド方向が曖昧なことが多いので、主要な推進波(トレンド波)との関連を確認。
  • リンク波(X波)の動きに注意: X波は、通常、トレンド方向の反対に動き、フィボナッチ比率38.2%-61.8%でリトレースすることが多い。
  • 時間軸を考慮: 複合型修正波は、単純な修正波よりも時間がかかることが一般的です。
  • フィボナッチ比率を活用: 各波の長さやターゲットを予測する際にフィボナッチ比率を参考にする。

5. まとめ

  • 複合型修正波は複雑だが、W-X-Y構造を意識することで整理可能
  • 主なパターン(ジグザグ、フラット、トライアングル)を把握し、それらの組み合わせを想定する。
  • フィボナッチ比率や波動の性質を活用しながらカウントを進める。

エリオット波動の1~5波を見極める方法

1波(Impulse Wave 1)

  • 特徴:
    • 相場の転換点で始まる初動の上昇(または下降)波。
    • 価格がまだ強くないため、出来高が少ないことが多い。
    • 市場参加者の多くは、これを調整波または反発と誤解する傾向があります。
  • 見分け方:
    • 前のトレンドと逆方向の動きが確認されること。
    • 上昇または下降が始まり、明確な高値や安値を作る。

2波(Corrective Wave 2)

  • 特徴:
    • 1波の動きに対する調整波で、1波の一部を反対方向に戻す。
    • 出来高が減少し、トレンドが一時的に弱まる。
    • フィボナッチ比率(通常0.5~0.618)で1波の値幅を調整することが多い。
  • 見分け方:
    • 1波の頂点や底値を完全には突破せずに反転。
    • 出来高が1波に比べて減少している。

3波(Impulse Wave 3)

  • 特徴:
    • 最も強く、持続的なトレンド波。
    • 出来高が急増し、トレンドが明確に方向性を持つ。
    • 通常、1波と比較して最長の波動であることが多い。
    • フィボナッチ比率では、1波の1.618倍以上伸びることが一般的。
  • 見分け方:
    • 明確な高値または安値を突破し、新たなトレンドの強さを示す。
    • 市場参加者の注目が高まり、強い出来高の増加が見られる。

4波(Corrective Wave 4)

  • 特徴:
    • 3波に対する調整波で、価格が横ばいまたは軽微な調整を示す。
    • 出来高が減少し、トレンドに一時的な休止感が生じる。
    • フィボナッチ比率では、3波の値幅の0.236~0.382程度の調整が一般的。
  • 見分け方:
    • 3波の価格帯を大きく崩さず、ゆるやかな調整を示す。
    • 短期間でレンジ相場のような動きを形成する。

5波(Impulse Wave 5)

  • 特徴:
    • トレンドの最終局面を示す上昇(または下降)波。
    • 出来高が減少し、3波ほどの勢いはないが、高値や安値を更新。
    • 投資家の楽観や悲観がピークに達し、相場の転換が近い。
  • 見分け方:
    • トレンドが鈍化し、価格が新高値(または新安値)をつける。
    • 相場心理が過熱し、一般投資家が参入し始める。

修正波(ABC波)を見極める方法

A波(Corrective Wave A)

  • 特徴:
    • 5波動の終了後に始まる最初の逆方向の動き。
    • トレンド転換の初期段階で、価格が明確に逆方向へ動き始める。
  • 見分け方:
    • 5波の終点を割り込み、出来高がやや増加。
    • 市場参加者が「調整」と認識し始める。

B波(Corrective Wave B)

  • 特徴:
    • A波の反発で一時的にトレンド方向へ戻る動き。
    • フィボナッチ比率でA波の0.5~0.618戻ることが多い。
  • 見分け方:
    • 出来高が減少し、反発の勢いが弱い。
    • 多くの市場参加者が「トレンド継続」と誤解しやすい。

C波(Corrective Wave C)

  • 特徴:
    • 修正波の最終段階で、トレンドと逆方向に大きく進む。
    • 通常、A波とほぼ同じ値幅で動く(対称性がある)。
    • 5波構造を持つことが多い。
  • 見分け方:
    • 明確なトレンド方向に進み、出来高が増加。
    • 市場参加者が損切りや投げ売りを始める局面。

見分けるためのツールと補助指標

  • フィボナッチ比率: 各波動の調整幅や拡張幅を測定。
  • 出来高分析: トレンドの強弱を確認。
  • RSIやMACD: トレンドの勢いや転換点を見極めるために使用。
  • チャートパターン: トライアングルやヘッドアンドショルダーなども参考になる。

第3波が延長する際の特徴と見極め方

★第3波が延長する際の特徴
価格の急騰・急落が顕著

第3波は通常、最も勢いがあり、取引量が増加する波です。価格が一方向に急速に動くことが特徴です。
フィボナッチ比率の適用

第3波が延長する場合、その長さは第1波の 1.618倍以上 になることが多いです。
また、第3波が第1波の 2倍 や 2.618倍 になるケースもあります。
トレンドの強さの継続

第3波は、トレンドの方向性が明確に定まり、市場参加者がその方向について強い確信を持つ局面です。
そのため、第3波では調整が小さく、価格が一方的に動き続ける傾向があります。
相対的なエリオット波の長さ

延長が発生した第3波は通常、他の波(第1波や第5波)よりも顕著に長くなる傾向があります。

★第3波の延長を見極めるポイント
トレンド発生初期の取引量を確認

第3波が始まる際に取引量が急増する場合、第3波が延長する可能性が高いです。
チャートパターンの確認

第3波はしばしばチャートパターン(例えば、ブレイクアウト後の急騰や急落)と一致します。
サポートやレジスタンスを超えた後に急速に動く場合、それが第3波である可能性が高まります。
フィボナッチ拡張の使用

第1波の始点から終点を基準に、フィボナッチ拡張を使って第3波の目標値を測定します。
具体的には、1.618倍、2倍、2.618倍の水準が目安となります。
修正波(第2波)の性質

第2波が浅い修正(例えば、第1波の38.2%~50%程度のフィボナッチリトレースメント)で終わった場合、第3波が延長する可能性が高いです。
ニュースやファンダメンタルズの確認

第3波が延長する場合、しばしば市場に大きなニュースや出来事が影響しています。これにより、市場参加者が一方向に集中しやすくなります。

★実際のトレードでの応用
エントリータイミング

第2波が終わったと判断できる地点(第1波の38.2%~61.8%リトレースメント付近)でエントリーし、第3波の延長を狙います。
目標値の設定

第3波が延長する場合、フィボナッチ拡張の1.618倍や2.618倍を目標値として設定します。
ストップロスの設定

第2波の底(上昇トレンドの場合)や、第3波が始まったポイントの直近の安値をストップロスとして活用します。

★注意点
延長しないケースもあるため、フィボナッチや取引量など複数の指標で確認することが重要です。
市場環境が急変すると、第3波の途中で勢いが弱まる可能性があるため、常にリスク管理を行いましょう。

★第3波が延長した場合の第5波の特徴

第5波は短くなる傾向がある

第3波が非常に長く強力だった場合、第5波はエネルギーの枯渇により、比較的短くなることが多いです。この現象は「エリオット波動のバランス」として知られています。
第5波は第1波と同程度の長さになることが多い

フィボナッチ比率では、第5波が第1波と等しい長さ(または0.618倍程度)になることが一般的です。
ダイバージェンスが発生することが多い

RSIやMACDなどのオシレーター系指標で、価格が高値(または安値)を更新しているにもかかわらず、オシレーターが同調しない「ダイバージェンス」が発生することが多いです。これが第5波の終焉を示唆するサインとなります。
第5波はトレンドの勢いが減少する

第3波の延長による大きな動きの後、市場参加者の疲労感や利確によって、第5波の勢いが弱くなる傾向があります。
エクステンションが起こらない場合が多い

第3波が既に延長している場合、第5波でさらに延長が発生することは稀です。そのため、第5波はシンプルな形状になることが多いです。

★第5波のパターン
クライマックス的な動き

第5波が短くても、急激なスパイクや価格の伸びが見られることがあります。これを「エンディング・ダイアゴナル」または「ファイナル・クラッシュ」と呼ぶことがあります。
横ばいまたはレンジの形成

第5波が弱い場合、レンジ相場に近い動きで終了することがあります。
トレンドラインやフィボナッチ比率との一致

第5波の終点は、フィボナッチ拡張の2.618倍や、1.382倍の水準で止まることが多いです。

★戦略的なポイント
利確ポイントの設定

第3波の延長後、第5波が短くなる可能性を考慮して、早めの利確ポイントを設定します。
ストップロスの設定

第5波の途中で予想外の動きが発生した場合に備え、第3波の安値(上昇トレンドの場合)を基準にストップロスを設定します。
逆張りの注意

第5波の終盤ではトレンドが弱まるため、逆張りトレードが有効になる場合があります。ただし、リスク管理を徹底してください。

★第3波延長後の修正波の特徴
修正波は比較的浅くなることが多い

第3波が非常に強力で延長した場合、トレンドの勢いが強く残っているため、修正波は深くならず、第4波の高値(または安値)を大きく割り込まないことがあります。
特にフラット型(Flat)やランニングフラット型(Running Flat)のような浅い修正が発生しやすいです。
ABC波が時間的に長くなる場合がある

第3波が延長した後は、市場参加者の心理的な調整が必要となるため、修正波が時間をかけて進行する傾向があります。この場合、複合修正(ダブルジグザグやトライアングル)が見られることがあります。
修正波のエネルギーが弱い

第3波の延長によって市場の大半のエネルギーが使われてしまうため、修正波(特にC波)の動きが比較的弱くなることがあります。
ABC波の対称性が崩れることがある

通常、A波とC波は類似した長さや形状を持つことが多いですが、第3波が延長した場合、C波が短くなるか、あるいはA波と異なるパターンを形成することがあります。

★修正波のパターンと第3波延長の影響
ジグザグ型(Zigzag)

トレンドが非常に強い場合、急激なA波と短いC波で構成される浅いジグザグ修正になることがあります。
フィボナッチ比率では、A波が第3波の38.2%~50%程度を調整し、C波がA波の0.618倍~1倍になることが多いです。
フラット型(Flat)

A波、B波、C波がほぼ同じレベルで形成されるレギュラー・フラットや、B波がA波を超えるランニング・フラットが発生しやすいです。
この場合、修正波は浅くなり、トレンドの再開が早まる傾向があります。
トライアングル型(Triangle)

修正波全体がトライアングルパターンになることがあり、特に横ばいで時間をかけるパターンが多いです。
トライアングル型修正は、次の推進波(第5波)に移行する前の「エネルギー蓄積期間」として機能します。
複合修正(Complex Correction)

ジグザグやフラット、トライアングルが組み合わさった複雑な修正波が発生することもあります。この場合、時間が長引き、方向性が読みにくくなる傾向があります。

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